松川八洲雄監督特集/Cプログラム

tancho2008-03-20

Cプログラム <創造する人々、発見する映画>(計66分+20分)
『歌舞伎の魅力 舞台美術〜参会名護屋〜』1983年 34分
『琵琶湖・長浜 曳山まつり』1985年 32分
(参考上映)『ある建築空間〜帝人中央研究所〜』1964年 20分
上映日時:3月21日(金) 21:00・22日(土) 17:00・23日(日) 15:00


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歌舞伎の魅力 舞台美術〜参会名護屋
1983年/34分/カラー/16mm 
制作◎英映画社 企画◎国立劇場 プロデューサー◎服部悌三郎・宮下英一 
脚本・監督◎松川八洲雄 撮影◎瀬川浩 ナレーション◎久米明
出演者◎尾上松緑中村雀右衛門澤村宗十郎尾上辰之助岩井半四郎
坂東彦三郎中村時蔵尾上左近中村富十郎市村羽左衛門
■代々歌舞伎絵を描いてきた鳥居派九代目の鳥居清光さんが「参会名護屋」の舞台美術を担当し、元禄芝居を再現する過程を記録。

[見どころ]
松川監督のライフワーク的代表作、長編『不安な質問』(1979)が漸く完成し、80年代以降の「第二期」と言えそうな時代、"頼まれ仕事"の中に軽やかな遊び心と確固とした視点を併せ持つ、独自の中短編を連作していった時代の先駆け的作品。久米明さんの、丸みを帯びたナレーションが心地よいです。


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琵琶湖・長浜 曳山まつり
1985年/32分/カラー/16mm(オリジナル35mm)
制作◎英映画社 企画◎ポーラ伝統文化振興財団 
プロデューサー◎服部悌三郎・宮下英一 脚本・監督◎松川八洲雄 
撮影◎江連高元 ナレーション◎原ひさ子
■近江長浜の子ども歌舞伎「曳山まつり」。町の若い衆が少年たちにつきっきりで教えていく様子から、地域での民俗の伝承を描く。

[見どころ]
からくりでも人形でもなく「子ども」を山車に乗せた長浜の古人たちの狙いやいかに?世にも不思議で楽しい「曳山まつり」の秘密と、父子孫の男3世代が力を合わせてお祭りの本番に挑む「長浜町民自慢の伝統」に迫る傑作です。


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(参考上映) ある建築空間〜帝人中央研究所〜
1964年/20分/カラー/16mm
制作◎日本技術映画社(現・カジマビジョン) 企画◎鹿島建設 
プロデューサー◎岩佐氏寿 脚本・監督◎松川八洲雄 撮影◎平木靖 
音楽◎間宮芳生 音響◎小杉武久  助監督◎飯村隆彦 
ナレーション◎金内吉男
アメリカ人、ジェームス・スチュアート・ポルシェック氏の設計に鹿島建設の設計部が協力して完成した、帝人中央研究所(日野市)の斬新な設計と建築を分析する。

[松川監督語録]
良し悪しはともかく、若いアメリカの設計家の実験性を多分に試みているこの建物を、映画もまた様々な実験を試みて描いている。例えば構図についていえば、映画では常識となっているポジションを一切避け、むしろとってはいけないアングル、真正面とか真横といったグラフィカルなアングルの多用、(中略)積み木やリンゴをアニメーション風に動かしての空間表現、コマ落しによる影の動きでの空間のリズム感表現など。(松川八洲雄・著『ドキュメンタリーを創る』266ページより/1983年)

[見どころ]
建設会社の発注による産業技術PR映画でありながら、現代音楽の小杉武久氏、実験映画の飯村隆彦氏ら気鋭のスタッフの参加を得て「前衛的な空間を前衛的に撮る」ことに挑んだ異色作。イームズ映画や実相寺版ウルトラセブンを彷彿とさせるトンガリ感覚が楽しい一作です。松川監督のご自宅からお借りしたフィルムで追加上映します。