IMAGE RINGS vol.3 女の子たちは元気です!!

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vol.3 女の子たちは元気です!!


オトナになってよ!マイ・ハニー

1996年1月15日(祝)16日(火)14:00/18:00
会場:新宿Fu- 料金:800円
矢口史靖『雨女』1990/8mm/72分
しまだゆきやす『ケガレハライタマエ』1996/8mm/30分
村山夕香子&吉留恵美『平らな肉』1992/16mm/17分
富永舞&田辺理香子『ハニームーン』1995/16mm/30分
(協力:WIZ)

古びた校舎に巣喰う幽霊
しまだゆきやす
■ある人に、今回の興行のテーマは『女の子たちは元気です!!』だといったら、「何をいまさら……」と笑われてしまった。どうやら「一部の女の子たち」が元気そうに見えるのは、周知の事実らしい。心に陰りがない。それは無慈悲な生き方といっていい。憂いだとか、後悔、躊躇といった後ろ向きの感情に惑わされることのない人生観である。要はなるべく余計な荷物を背負わないということだろう。つまりカラッポな生き方である。しかしそれを悪いといっているのではない。そういう生き方が「今、もっとも美しい」のだという事実を確認しているに過ぎない。だとすれば、さしづめこの映画の主人公などは、およそ美しさからかけ離れた人間だといえるだろう。彼は「かつて好きだったクラスメートの女の子」を捕まえてきて、必死になって自己をアピールするが、説得力に欠けるばかりか、ただただ愚かしい。
■いつの時代にあっても、もっとも美しいものはもっとも軽い存在である。それは、一瞬一秒たりと立ち止まらず、空を飛んでゆく。「時」に身をゆだね切った瞬間、人は一番美しくあれる。なぜなら、彼(彼女)は、この世がすべて幻でしかないという真理を悟っているからだ。
■『ケガレハライタマエ』という映画はタイトルが先にあった。絵とストーリーは後から追いかけるように撮り足された。主人公は髭を生やし、背広を着ているが、まだ大人ではない。年を食ったというより、カビた少年というべきものをイメージした。
■またこの映画では、初めて「廃墟(校)」を舞台にしてみた。彼はずっと前に卒業し、その後取り壊されてしまった母校の教室にカタコンベ(地下墓地)みたいに出入りしている。そして、「かつて好きだったクラスメートの女の子」の幻影(彼女は相応に年を取っている)と戯れつつ、外界の諸相について学習をいまだに続けている。
■カビた少年は、けっして狂っているわけではないが、いささか「頭でっかち」になりすぎているきらいがある。人の一途な想いというものは、「時」の束縛を受けない。だから往々にして無様な愚かさとなって現われる。きっと今のような時代なら、なおさらのことだろう……。
(「女の子たちは元気です!!」パンフレット/1996年1月15日発行)