475『三匹の小熊さん』


(切り紙アニメーション) 1931年/10分/白黒
製作:婦人之友社 原作:村山籌子(文)村山知義(絵)
演出:岩崎昶 作画:村山知義 撮影:並木晋作
三匹の小熊が、姿を消した友達のあひるを追って野こえ山こえ探しあてるまで。
「子供之友」に1924〜28年にかけ連載された絵物語の映画化。村山知義の妻・籌子が文を書いた。昭和初期に美術・演劇界に新風をふきこんだ村山知義の作風は明るく歯切れがよい。厚紙切絵の技法で動きはなめらか。演出の岩崎、撮影の並木は当時プロキノ(日本プロレタリア映画同盟)で活動していた。

岩崎昶【いわさき・あきら】 1903〜1981
東京生まれ。東京帝国大学独文科卒。映画評論家として活躍する一方、1929年プロキノ(日本プロレタリア映画同盟)に参加。『アスファルトの道』(1930) 『第十二回東京メーデー』(1931) などを制作。治安維持法で検挙された後、満州映画協会東京支社の嘱託となる。敗戦後は日本映画社の製作部長に就任、『広島・長崎における原子爆弾の影響』(1946/米軍が没収) や、亀井文夫『日本の悲劇』(1946) などを制作。1950年には独立プロダクション・新星映画社の創立にも参加。その後は主に映画評論家として活動し、「占領されたスクリーン わが戦後史」(1975) など著書多数。
[主な作品]
演出…アスファルトの道、第十一回メーデー(1930)/第十二回メーデー、三匹の小熊さん(1931)
製作…迎春花 (1942 佐々木康)/日本の悲劇 (1946 亀井文夫)/原爆の図 (1952 今井正・青山通春)
企画…私の鶯 (1943 島津保次郎)/オモニと少年 (1958 森園忠)