松川八洲雄監督特集/Aプログラム

tancho2008-03-22

Aプログラム <「時間」を描く試み>(計80分)
熊野古道』2006年 15分
鳥獣戯画』1966年 24分
『神々のふるさと 出雲神楽』2002年 41分
上映日時:3月20日(祝) 13:00・22日(土) 15:00
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熊野古道
2006年/15分/カラー/ビデオ(オリジナルHD)
制作◎英映画社 企画◎三重県 プロデューサー◎宮下英一・内海穂高 
脚本・監督◎松川八洲雄 撮影◎八幡洋一 音楽◎間宮芳生 音響◎山崎宏 
ナレーション◎北村昌子
三重県熊野古道センター館内上映作品。弥生人の稲作により森は切り開かれたが、熊野は霊場となり極楽浄土願望の場に生まれ変わる。

[松川監督語録]
"空間"を描いた作品は今までにもありましたが、私は"時間"を描いてみたい。
(東京・イマジカでの完成試写での発言/2006年6月)

[見どころ]
松川監督最後の作品となった『熊野古道』は、映像(イメージ)の積み重ねによって”字には置き換えられない詩"を書き、吟味された言葉(ナレーション)が観客の心の中に遥かな歴史世界の情景を映し出すという、その独特な作風が顕著に現れています。「松川八洲雄劇場」への予告編としてもふさわしい好短篇です。


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鳥獣戯画
1966年/24分/カラー/16mm(オリジナル35mm)
制作◎映像社、七人の会 プロデューサー◎富沢幸男・堀田正己 
脚本・監督◎松川八洲雄 
脚本◎大沼鉄郎・杉山正美・杉原せつ・藤原智子・富沢幸男 撮影◎瀬川浩 
音楽◎間宮芳生 ナレーション◎芥川比呂志
■国宝・鳥獣戯画の中に、歴史の表には現れない庶民の姿を見る。イタリア・ベルガモ映画祭 芸術部門大賞受賞。

[松川監督語録]
うさぎと蛙のお遊び、つまりディズニーの世界で終わろうとするのではなくて、トータルにあの空間を暴きだしてみようということが試みだったんです。
山形国際ドキュメンタリー映画祭「Documentary Box」23号 松川八洲雄インタビューより/2004年 http://www.yidff.jp/docbox/23/box23-1-1.html

[見どころ]
100本近いフィルモグラフィーのほとんどが"頼まれ仕事"だった松川監督にとって数少ない「自主企画」作品。日本人なら誰もが見たことのある「鳥獣戯画」は"マンガ&ジャパニメーションの源流"なんて解釈もありますが、自由奔放に見える動物たちも、実際に描かれた時代背景…人心は乱れ、末法思想の現れたその時代と並べて凝視すると、楽しそうな動物たちの奥底に別の表情が見えてくる…「本当は怖い鳥獣戯画」なのです。


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神々のふるさと 出雲神楽
2002年/41分/カラー/16mm(オリジナル35mm)
制作◎英映画社 企画◎ポーラ伝統文化振興財団 
プロデューサー◎宮下英一・内海穂高  脚本・監督◎松川八洲雄 
撮影◎小林治・八幡洋一 ナレーション◎北村昌子
■出雲地方の四地域の神楽を歴訪、今も続くヤマタノオロチ神話を介した「神と人との交流の場」を観察する。

[松川監督語録]
お神楽は、文字の代わりに身体行動と口うつしされてきた言葉、たとえば呪文のような…を用いて物語を伝えようとしたもの、といえるだろう。(映画プレスシート「出雲神楽は身体で描いた古事記」より/2002年)

[見どころ]
一言にお神楽と言っても中身は地域によって千差万別。佐陀神能、見々久神楽、奥飯石神楽、そして石見神楽の四つを紹介しながら、「芸」の歴史を受け継ぐ「地域と人」の歴史をも丁寧に映し出す構成が見事です。どんなに有難いお神楽も、地元の人は「60〜70回目になると、もう見ない」と言い切っちゃうナレーションにびっくり!