松川八洲雄監督特集/Eプログラム

tancho2008-03-18

Eプログラム <"政治ドキュメンタリー"の可能性>(計93分)
『マイブルーヘブン 吉野作造〜デモクラシーへの問い〜』2002年 44分
中江兆民 一粒の民主の種子(たね)を』2003年 49分
上映日時:3月20日(祝) 19:00・23日(土) 13:00


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マイブルーヘブン 吉野作造 デモクラシーへの問い
(学問と情熱 第25巻)2002年/44分/カラー/ビデオ 
制作◎紀伊國屋書店、ポルケ、桜映画社 プロデューサー◎村山英世 
脚本・監督◎松川八洲雄 撮影◎八幡洋一 
ナレーション◎北村昌子・伊藤惣一
民本主義を唱えた大正デモクラシーの立役者、政治学者・吉野作造。テロルの季節であった大正時代から「9.11」までを一気に語りきる "日本の青春" 論。

[松川監督語録]
2001年、9.11の初めてのテレビニュース放映の時、とっさに8mmビデオでテレビ画面とその日の茶の間を延々と記録したんです。めったにないことでした。どういうことかわからないけど、大変なことが起こっていると。これを撮ることによって『吉野作造』の方向が決まりました。ある意味じゃ暗殺史、民主主義とテロの歴史というもので『吉野作造』を描こうという方向になりました。(山形国際ドキュメンタリー映画祭「Documentary Box」23号 松川八洲雄インタビューより/2004年 http://www.yidff.jp/docbox/23/box23-1-2.html

[見どころ]
紀伊國屋書店のビデオ評伝シリーズを引き受けた松川監督は、9.11事件とその後の世界の変貌を敏感に感じ取って、光と陰のように寄り添ってきたデモクラシーとテロリズムの足どりを考察しています。テロルの歴史を畳み掛けるように繋いでいくラストの構成は鳥肌もの。ちなみに「岸田劉生に弟子入りする青年」として監督のお父様が、「大正時代の女教師」としてお母様が"出演"しています!


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中江兆民 一粒の民主の種子を
(学問と情熱 第29巻) 2003年/49分/カラー/ビデオ 
制作◎紀伊國屋書店、ポルケ プロデューサー◎塩崎健太 
脚本・監督◎松川八洲雄 撮影◎八幡洋一・大洞陽佑 
音楽◎山崎宏 ナレーション◎北村昌子 出演◎坂本長利
自由民権運動の思想的指導者・中江兆民の伝記と見せながら、彼の残した「三酔人経綸問答」の劇化によりイラク開戦前夜の現代日本を告発する。初めて俳優を起用。

[松川監督語録]
兆民の書いた本に『三酔人経倫問答』という代表作があるんです。原文は漢文なんだけど桑原武夫の見事な口語訳が出ていて、3人の酔っ払いが3つの立場から自由な意見を言うんですね。まさに現代的な問題を3人が話しているんですけどね。(山形国際ドキュメンタリー映画祭「Documentary Box」23号 松川八洲雄インタビューより/2004年 http://www.yidff.jp/docbox/23/box23-1-2.html

[見どころ]
「映像のアルチザン」を自任してきた松川監督が、70歳を超えて「今こそ主張すべきだと」気を吐いた「学問と情熱」連作は、"政治ドキュメンタリー"の可能性を示す存在として長年の友人・土本典昭監督も高く評価していらっしゃいます。100年前の酔っ払いたちの政治談義と少しも変わらない我々の進歩のなさに愕然とする諷刺劇の逸品!