057『うずの世界』

(※写真)
1976年/15分/カラー/制作:岩波映画製作所/企画:科学技術庁
プロデューサー:片野満/脚本・監督:桑野茂/撮影:小村静夫
流れのある所はほとんど生まれるうずの世界−うずはどうして生まれる
のか、私たちの生活とどんなかかわりをもっているのか。身近なうずの
現象を科学的な眼でとらえ、うずの美しいイメージの世界へ招く。

桑野茂【くわの・しげる
No.036『集中豪雨』を参照。
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20050608/p4

 −解説のない、必要なら音楽とスーパーだけを最小限補助的に使う
だけの、映像そのものを見せる科学映画をつくりたい−
 それは一つのシネ・ポエム=映像詩の世界であり、科学映画の関係者
ならずとも、映画づくりに携わるものなら誰もが一度は夢見る純粋なイ
メージの世界である。諸般の事情で、心ならずも最小限のコメントを入
れて完成させざるを得なかったが、私としては、ある程度当初のねらい
を生かせた、ファンタスティックな科学映画になったと思っているのが、
演出家からプロデューサーになって間もない、昭和五十一年に完成した
表題の作品である。
 映画は、橋脚のうず、鳴門のうず、味噌汁にできるうずなど、身近な
うずの現象の美しい映像を導入部として、その原理を実験で解明し、超
高層ビルや流線型・非流線型の自動車とうずの関係などを、風洞実験で
空気の流れとして視覚的にとらえて見せ、更に回転する地球上に生まれ
る大気のうず、気圧配置とその変化の様子などを動的なイメージの展開
で綴っていった…。
(片野満『映像いろは随筆 岩波映画で三十年』150〜151ページより)

映像いろは随筆―岩波映画で三十年

映像いろは随筆―岩波映画で三十年