IMAGE RINGS vol.16 不思議時間の恋人たち

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vol.16 不思議時間の恋人たち


過ぎゆく風 沈黙する光 きみとぼく
生と死 そして 終わりの 始まり……。

1998年5月14日(木)15日(金)16日(土)
12:00/15:00/18:00
会場:新宿Fu- 料金:前売800円/当日1,000円
大木裕之『ターチ・トリップ』1993/16mm/64分
園子温『桂子ですけど』1996/16mm/61分1秒
天野天街『トワイライツ』1995/16mm/33分
(デザイン:WIZ モデル:鈴木桂子)

■アリスが彷徨いこんだ鏡の国は、最初に「未来」があって、後から「過去」が追っかけてくる時制の狂った世界だった。そういえば、ボクたちも追憶を刻む針の音を聞きながら、決して叶うことのなかった未来を思い出すことがある。
■いつかどこかで出会うはずだった人の横顔を、フィルムが映写機をくぐる何百分かの1秒とスクリーンに影が踊るまでの不思議な距離に追い求めたりする……。
20日間で目にした何気ない風景をフィルムに記録しただけ――なのに大木裕之の『ターチ・トリップ』(93)は、幾何学的に配置された少年たちのシルエット同様に、JRの駅前やロッテリアの店内さえも彼岸の映像へと変容させる。
■より映画的ともいえる園子温の『桂子ですけど』(96)、そして天野天街の『トワイライツ』(95)は、登場人物のモノローグや視覚的効果を通じて一層鮮やかに「時間」や「死」というものに言及している。はかなさの予感の中にこそ、生きることの美しさがあるのだと。
イメージリングス・しまだゆきやす)