127『ふりかえって・夏―対人関係を考える―』

1976年/22分/カラー 制作■岩波映画製作所
プロデューサー・脚本■片野満 脚本・監督■手塚正巳 撮影■岡田久
照明■江森源二 録音■佐久間俊夫 記録■菅原ひろ子
演出助手■熊倉信夫 撮影助手■溝口誠 協力■劇団群像
出演■真岡優 千葉茂 小川ミカ 大川義幸 羽石玲子
   細石信二 峯田智代 浅野いづみ 加茂けんと
高校生の起す不適合の要因の一つに対人関係による場合、特に異性交
友のからむ場合が考えられる。2人の男子高校生と1人の女子高校生
をとりあげ、各人の親子関係・男子生徒同士の友情関係を考えさせる。

文部省からの委嘱で、サブタイトルに『―対人関係を考える―』とあるように、特に異性交友のからむ高校生の対人関係を考えるための作品で、テーマがテーマだけに何とか劇スタイルでやって貰えないかと文部省の先生方に頼まれ、とても出演者のギャラなど考えられない製作費だったが、私が関係している劇団の仲間と一緒にやったら何とかなるだろうと、劇団稽古場での演技指導とひき替えに、劇団ユニット出演風の劇映画に踏み切ってつくったものである。
当初、喫茶店でデートしている二人を見つけた仲間たちが…といった脚本の出だしを想定したところ、今どきそんなことは問題にならないと先生方に笑われ、関係資料をいろいろ勉強しながら話を組み立てていったのだが、当時、諏訪清陵高校の教師をしていた弟から、彼の担任の生徒たちだったか…家出していた二人を旅館で見つけ出し、何とか始末をつけたという話を聞き、ちょうど同じような設定を考えていた時でもあり、意外に身近なところでも似たような問題が起こっているんだな、と変な感心の仕方をしたのを覚えている。
(片野満『映像いろは随筆―岩波映画で三十年』147〜149ページ)

映像いろは随筆―岩波映画で三十年

映像いろは随筆―岩波映画で三十年

手塚正己【てづか・まさみ】
1946年長野県生まれ。日大芸術学部映画学科在学中に真珠舎製作『r‚¢ŠC』の現場に参加。日活・岩波映画で助監督をつとめ、1971年に『黒いすじを追って』を初監督。以後主にテレビドキュメンタリーを手掛けながら、短編劇映画『M子』(1975)『白い地獄』(1984)を自主製作。1989年シネマ・ジャパン設立、1992年に長編記録映画『軍艦武蔵』を劇場公開する。

軍艦武蔵 [DVD]

軍艦武蔵 [DVD]