125『みつばちマーヤの冒険』
1954年/11分/白黒/制作:TCJプロダクション/
原作:ボンデルス/演出:芦田いわお/動画:福田里三郎
ミツバチのマーヤは、いつもいばっているカブトムシがひっくり返って
困っているのを助ける。その後マーヤは敵のクマンバチ軍に捕えられる
が…アニメCM制作の老舗・TCJ(梁瀬次郎代表)の第一回作品。
芦田巌(別名:鈴木宏昌、芦田いわを)はPCL漫画部の大石郁雄門下から独立、自らの会社を興して1933年の『カヘル剣法』を処女作に、戦後まで粘り強い製作活動を続けたアニメーターである。特にアラビアン・ナイトの翻案『バグダッド姫』(1948)はフルアニメーションによる苦心の力作である。
(フィルムセンター「日本アニメーション映画史」2004年)
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昭和二十一年に上京した際、ふらりとあるマンガ映画プロダクションへ飛び込んで「僕を使って下さい」と執拗に頼み込んだ。
「だめだ、君は映画に向かん」と所長は、私の作品を見ていった。
「実力がありませんか?」がっかりしてきくと、
「一度、出版界の味をしめてしまうと、報酬その他、割りがいいもんだから、ケタ違いに不利な動画などは、とても作る気になれないよ」
「縁の下の力持ちでも何でもやります。やとって下さい」
「あきらめるんだな」
私はがっかりして、以後、マンガ映画をつくることなど、すっかり忘れてしまった。
(手塚治虫/東京新聞「私の人生劇場」1967年11月3日)
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芦田漫画という会社は社長の芦田巌さんという方が戦前からのアニメーターで、山本(善次郎=早苗)部長とは古い友人という関係で東映動画から仕事が行っていました。実をいうと、私は東映動画に入る前に、そのころ三軒茶屋にあったその芦田漫画に「入れほしい」と頼みに行ったことがありました。そのときに、芦田巌さんが私の絵をみてこういわれました。
「きみの絵はアニメーションに向いていないよ、絶対やめたほうがいい…」
そういわれて、私はスゴスゴと引き揚げたことがあったのです。
(大塚康生/アニメージュ文庫「作画汗まみれ」73ページより)
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